盲目の天使

ソレイユの発言は、あながち的外れなものではない。


もともとカルレイン派と、アルシオン派の臣下がいたものの、

プロン王の手前、おおっぴらに対立してはいなかった。


しかし、王の毒殺未遂という事件が起こったため、その対立が急速に表面化していた。


しかも、プロンは跡継ぎを明確にしていなかったため、

ノルバス国の民は、不安に思い始めている。


万一、王に何事かあった場合、国の未来はどうなるのか・・・。



プロンは、酒を飲みながら、ソレイユの言葉を考えていた。

すでに、毒見のすんでいる、冷えた食事をついばみながら。

宴の席以来、食べるものも飲むものも、必ず毒見をさせている。



もう少しで、王は動きそうだわ。



王の沈黙に、ソレイユは、にたりと笑って、切り札をきった。






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