盲目の天使

カルレインは、指輪を拾いあげた。

よく見ると、石の部分が、ずれていて、その中には、白い粉がうっすらと残っている。



リリティスの指輪ではない!



カルレインは、リリティスに求婚するときに贈りたいからと、

さまざまな宝飾品の中で、唯一、指輪だけは贈っていなかった。


正確に、毒のありかを断言したソレイユ。

自分が、毒入りの指輪を、リリティスに渡したのだと、言ったも、同然ではないか。


「きさまがぁっ!

よくも、リリティスをっ!!」


地の底から湧き出したような、低い声。

怒りに満ちたその瞳は、万物を凍りつかせるもの。


兵士の中には、そのあまりの迫力に、腰を抜かしたものもいた。



なんという、殺気だ!



コウガイ将軍でさえ、気圧されるほどの、鋭い気迫。

何の関係もない、周囲にいる者でさえ、そうなのだから、

その怒りを、一身に浴びる人物は・・・。




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