盲目の天使
ひっ、と、ソレイユは、短く息を吸った。
リリティスの体を、そっと寝台に横たえると、
カルレインは、腰に刺していた長剣を、すらりと抜いた。
「ひいいいっ!お前たち、何をしている!
は、早く、カルレインを捕らえぬか!!」
ソレイユは、カルレインの恐ろしい形相に、腰を抜かして、床を這い回る。
兵たちは、どうすればよいか分からず、固まったように動けない。
策をめぐらせることに、長けているソレイユも、
他人の怒りを、真正面から受け止めた経験は、なかった。
しかも、疾風の黒鷲と恐れられるものの、真の怒りを。
・・だ、誰か!
ソレイユは、カルレインが握る剣が放つ、鈍い光に、目を閉じる。
「地獄へ落ちろ!!」
カルレインの声と共に、長剣が、ソレイユめがけて振り下ろされた。