盲目の天使

しかし、コウガイ将軍の手によって阻まれたため、

すんでのところで、その剣は、ソレイユには届かなかった。


「離せ!コウガイ!」


後ろから羽交い絞めにされたまま、カルレインは、大きな声を出す。


「落ち着かれよ、カルレイン様。

今は、姫君の命を救うのが、先ではありませんか?」


コウガイの言葉に、はっとして、カルレインは、力を緩めた。


それを見た、ソレイユが、勢いづいて怒鳴り散らす。


「それ、お前たち!見たであろう!!

王妃であるこの私に、剣を向けたのじゃぞ!

カルレインを、捕らえよ!」


それは、確かに、今、何十人という兵士の目の前で起きた、事実だ。

お互いに目配せしながら、兵士たちが、のろのろと動き出す。

だが、それをさえぎったのは、コウガイだった。





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