盲目の天使

抱き起こし、首を支えて、蒼白なリリティスの顔を持ち上げる。


「リリティス!これを飲むんだ!」


カルレインは、リリティスの口に、無理やり水を含ませたが、

全て、口の端から零れ落ちた。



くそっ!!

さっきは、ちゃんと水を飲んだのに!



カルレインは、毒消しを溶かした水を、自分の口に含むと、

そのまま、リリティスに口付ける。



頼む、飲んでくれ!!



「ん・・・」


親指の腹で、リリティスの喉を触ると、小さなうめき声がして、

反射的に、ごくん、とリリティスの喉が、動いた。



よし!



カルレインが、何度も口移しで毒消しを飲ませていると、遅れて医師が到着した。

塔への階段がかなりこたえたらしく、ぜぃぜぃと肩で息をしている。


そして、その後ろには--、

騒ぎを聞きつけた、アルシオンの姿があった。








< 355 / 486 >

この作品をシェア

pagetop