盲目の天使

「リリティス・・・」


医師が、リリティスを診ているのを、アルシオンは、呆然と眺めた。



なぜ、こんなことに・・・。



牢の中には、沢山の兵士と、父の遺体。


そして・・・、


命の危機にさらされている、愛する少女・・。



ぐるりと牢を見渡すと、取り乱す母と、目が合った。



まさかっ!



アルシオンは、体中が、凍っていくような感覚に襲われた。

心臓は、どくどくと打ち付けているのに、体温は少しも、あがってこない。


・・どころか、血の気が引いて、立っていられないぼどだ。



“まさか、母上が”



ソレイユは、そんな息子の様子には、少しも気づかず、

アルシオンが来たことで、一気に形成が、逆転したと思った。


「シオン!

たった今、カルレインは長剣で、私を殺そうとしたのです。


プロン王を殺したのも、カルレインよ。

お前を跡継ぎにした王を、恨んで殺したのです。


さぁ!早く兵に命じて、カルレインを捕らえなさい!!」


それは、ソレイユの、勝利宣言だった。




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