盲目の天使
「わかりました・・・」
アルシオンは、うつむいたまま、低くつぶやいた。
「お待ちください、アルシオン様!」
コウガイ将軍が、焦って声を上げた。
プロンが死んだ今、アルシオンがこの国の王だ。
当然、アルシオンの命令に、逆らうわけにはいかない。
しかし、コウガイには、カルレインが、犯人だとは思えなかった。
「まだ、真相が明らかになったわけではありません。
どうか、もう少しお待ちを」
「・・黙れ」
コウガイの声を制して、アルシオンは、今までにないほど、怒気を含んだ声を出した。
それは、決して大きくはないが、プロン王を思わせるような、威厳のある声だった。
牢の中が、一瞬で、静寂に包まれる。
ソレイユは、にんまりと笑って、アルシオンの前に、優雅に進み出た。