盲目の天使
一瞬、窓の外に目をやる。
まぶしいほどの光が降り注ぎ、鳥の鳴き声だろうか。
遠くで、楽しそうな、チィチィという声がしている。
アルシオンは、あまりに明るい日差しに、目を細くした。
「母の心は・・・、完全に壊れてしまったようです」
カルレインは、眉間にしわを寄せた。
王妃ソレイユは、捕らえられ、リリティスが入っていた牢に、入れ替わるように入っている。
全て、実の息子である、アルシオンの命令で・・。
侍女をつけ、手厚く世話をしていたが、
アルシオンの言葉が、かなり堪えたのだろうか。
それとも、たくらみが失敗したことが、堪えたのか。
精神的に、少しおかしくなっていた。
目の焦点が合わず、一日中、ぶつぶつと、独り言をつぶやいている。
アルシオンも、母のことが心配だったが、
プロンの死んだ穴を埋めるため、母に、つきっきりというわけにもいかなかった。
昨日の夜、様子を見に行ったときには、アルシオンをプロンだと思い込み、
幽霊が出たと暴れだし、大騒ぎになった。