盲目の天使

ふいに、自分の口の中が、冷たいもので、あふれかえった。


「ゴホッ、ゴホッ!!」



なんだ!?



「大丈夫ですか?」


天使が、おびえた瞳をして、口を開いた。


「ここは、天国か?」


周りを見渡すと、木々の間から木漏れ日がやさしくふって、

色とりどりの花がさいている。

耳を澄ませば、鳥たちの愛らしい鳴き声が、聞こえてきた。



俺のような男でも、天国に来れるのだな。



男は、自嘲気味に笑うと、体を起こそうとして、うめいた。


「ぐぅっ!」




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