盲目の天使

男は、体中に痛みを覚えた。

特に左腕と左足は、激痛が走り、身動きが取れそうもない。


天国でも、痛みを感じるものなのか?

男がそう思ったとき、


大丈夫ですか?

と、もう一度天使の声がして、意識が覚醒した。


「・・・ここは、どこだ?」


「ここは、ケータの森です」



ケータの森?

ということは、カナン国か?


・・そうか、俺はケータ川を下っている途中で、滝つぼに落ちたんだ。



男は、自分の操舵の腕が甘かったことを、思い知らされた。




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