盲目の天使
「ありがとう・・」
カルレインは、声に出した自分の寝言に気づいて、ハッと目を覚ました。
・・眠ってしまっていたのか。
懐かしい夢を見たな。
カルレインは、少年に助けられてノルバス国に帰ってきてからも、
お礼を言いそびれたことを、長い間、悔いていた。
・・カナンに行けば、会えると思ったのだがな。
王から、カナンに攻め入るよう命令を受けたとき、
カルレインは、躊躇した。
自分が出会った、天使のような少年のことを考えて。
しかし、同時に、カナンの国王が、農民に酷い仕打ちをしているという話を耳にした。
それなら、自分が征服し、農民を保護する政策をとった方が良いのではないか。
そう考えるようになり、結局は戦の話を、承知したのだった。