盲目の天使

遠い記憶の中で、鮮やかに蘇った少年の瞳の色を思い出しながら、

リリティスを見下ろしたカルレインは、

それと同じ蒼い瞳が、自分を捕らえていることに気がついた。


「リリティス!!」


カルレインは、リリティスの名前を叫ぶと、そっと頬に触れてみる。


「どうして、震えていらっしゃるの?」


リリティスの言葉で、ぶるぶると震えているのが彼女ではなく、

自分なのだと、初めて理解した。


「リリティス・・・」


カルレインは、これがさっきまで見ていた夢の続きではないかと心配になり、

リリティスを、抱きしめようとして、


ふと、いつもと違う違和感を覚えた。



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