盲目の天使
リリティスの様子に、ルシルは、わっと、泣き出してしまった。
「どうして、リリティス様ばかりが、こんな目に合うのですか!
せっかく・・、
せっかく塔から降りて、カルレイン様に会えたのにっ!」
ルシルを抱きしめたオルメの目にも、うっすらと涙が光っている。
「目が見えているのは、間違いないのか」
カルレインは、落ち着いた低い声で、医師に確認した。
「はい。
チトの実は、少量用いれば、眼病の薬として効果があります。
はっきりとはしませんが、
姫君は、何か目の病気に、かかられていたのではないでしょうか。
ただ、今回はチトの服用量が多かったため、
記憶を失うという、副作用が出たのではないかと・・・」