盲目の天使

朝日が、部屋の中に差し込んで、リリティスは目を開いた。



・・・まぶしい。



目が見えるようになっても、いきなり沢山の光を浴びないほうがいいだろう、とは、

昨夜、診察した、医師に言われた言葉だ。


そのため、リリティスの部屋には、あまり光が入らないように、急遽、窓が布で覆われた。

その、ほんのわずかな隙間から、漏れ出た光のまぶしさに、

リリティスの瞳は、うずくような痛みを覚える。


両目を掌で覆いながら、寝台から降りようとして、リリティスは、ぎょっと目を見開いた。



カ、カルレイン様?!

どうしよう。

私のせいで、椅子に座ったまま、寝てしまわれたのだわ。



カルレインは、椅子に座って両腕を組んだまま、すやすやと寝息を立てていた。

子供のような、無防備なその姿。



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