盲目の天使
起こした方が、良いのかしら。
しばらく迷って、リリティスは、起こさないことを選んだ。
カルレインの寝顔を見て、リリティスの鼓動が、またもや大きな音をたてている。
このままでは、風邪を引いてしまうわよね。
そっと、立ち上がると、自分が、包まっていた毛布を、カルレインの体にかけた。
その瞬間、リリティスの腕は、寝ていると思っていた人物の長い腕に捕らえられ、
抱きかかえられるように、カルレインの胸に、倒れこんだ。
あまりのすばやさに、声を上げることもできない。
気づけば、カルレインと、至近距離で、見詰め合うような格好に、固定されていた。
間近で見る、黒い二つの宝石。
私、やっぱり、おかしいわ。
嬉しい、と思ってしまった。
こんな風に、強引に腕の中に、閉じ込められているのに。