盲目の天使

もごもごと口の中で、何事か言いながら、リリティスは、やっとのことで、声を振り絞った。


「それで、その・・・。

おろしていただきたいのですが」


自分の体を心配してもらったというのに、自分は、なんて不謹慎なんだろう。

カルレインと体が密着したことを、恥ずかしく思うだなんて。


リリティスは、カルレインの行為を、“誤解”してしまったのだと、

自身を恥じたが。


「それはだめだな」


即座に、否定されてしまった。


「どうして、ですか?」


「・・・目覚めの口付けが、したいからだ」


カルレインの言葉に、リリティスは、真っ赤になってうつむいた。


そんなことになるのではないかと、予想していたカルレインは、

吹き出しそうになるのを、黙って堪えていたが、

とうとう耐え切れなくなって、笑い出してしまった。


「わ、私を、からかって、いらっしゃるのね?」


リリティスは、頬をふくらませて、カルレインの膝から降りようとする。





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