盲目の天使
「カルレイン様!!
いつの間に、リリティス様の部屋に、入られたのですっ!」
ルシルは、腰に手を当てて、カルレインを威嚇している。
「やれやれ・・・。
あと、ほんの少しだったのに」
カルレインは、リリティスを膝の上からおろすと、
今度は、本物のため息をついて、部屋をあとにした。
「あ、あの・・」
わけのわからないリリティスは、二人のやり取りについていけず、おろおろしている。
「まったく、カルレイン様ったら、毎回、案内も請わずに、
リリティス様のお部屋に忍び込むのですから、困ったものですね」
ルシルは、“いつものように”、リリティスに話しかけた。
リリティスに気を使わせないためにも、今までどおりに振舞うよう、医師から言われていたが、
そう注意されなくても、ルシルは態度を変えるつもりはなかった。
ここにいるのは、自分の仕える、リリティスその人なのだから。