盲目の天使
「あの、ルシルさん」
「さんは、余計です。ルシルです」
リリティスの着替えを手伝いながら、ルシルは、リリティスの命が助かったことに感謝していた。
昨夜は、記憶がないことに取り乱してしまったが、こうして目まで見えるようになったし、
記憶だって、きっとすぐに戻るに違いない。
本人は、気づいてなかったが、楽天的な性格と切り替えの早さは、彼女の長所の一つであった。
「・・・ルシル。
その・・・・。
私は、カルレイン様と、恋人同士だったのでしょうか?」
ルシルは、はっとして、作業の手を止めた。
どう言って、説明すればいいのだろう。
二人が惹かれあっていたのは、間違いのない話だ。
だが、
ノルバスに、嫁すために、やってきたわけではない。
ルシルは、慎重に言葉を選んだ。
「お二人の間に、どのようなお話があったかは存じませんが。
リリティス様は、カルレイン様を深く愛していらっしゃいましたよ。
もちろん、カルレイン様も・・・」
きっと、全てがうまくいくようになりますよ--。
自分自身に言い聞かせるように、ルシルは、リリティスに笑いかけた。