盲目の天使
「本当によろしいのですか?カルレイン様」
ロキ大臣は、カルレインと二人きりになったところで、念を押した。
「かまわん。
王の毒殺未遂は、うやむやにして終わったが、
王の死んだ時期と合わせ、私を疑う者もいるだろう。
それに、お前も見たはずだ。
アルシオンは、やさしさの裏に、強さを秘めている。
というか、あのやさしさが、あいつの強さなのだろう。
きっと良い王になる。
どうか、アルシオンをよろしく頼む」
カルレインの言葉に、ロキは跪いて、恭しく頭を下げた。
・・優しく、強いのは、あなた様も同じでございますよ。
自分のためだけでなく、アルシオンのことも考えて、下した決断なのだろう。
弱さゆえに、覇王になったプロン。
だが、その血を受け継ぐ二人の息子が、同じ轍を踏むことはあるまい。
ロキは、プロンの歩む道に、選択肢を与えられなかった自分の力不足を嘆きながらも、
明るい未来に、思いをはせた。
「わかりました。おっしゃるとおりにいたしましょう。
それで、いつ出発なさるのです?」
「明日の朝だ」
カルレインは簡潔に答えると、リリティスの部屋へと足を向けた。