盲目の天使
アルシオンは、探るような、瞳になる。
「そのまま、カナンで、暮らすおつもりはありませんか?」
「・・・そうだな。
農民となって、そのまま根を下ろすのも、悪くない」
カルレインは、本気で、そう思った。
天使と出会った、あのケータの森で、土地を耕すのも悪くない。
リリティス一人を養うくらいなら、なんとかなりそうな気がした。
しかし、アルシオンは、穏やかな口調のカルレインとは対照的に、
いらいらしたように、語気を強めて、口を開いた。
「そうでは、なくてっ!!
国王として、
カナン国を治める気は、ありませんか?」