盲目の天使
珍しいアルシオンの様子にも驚いたが、それ以上に、カルレインを驚かせたのは。
「国王として・・・、だと?」
俺に、カナンを治めろと、そう言うのか?
「はい。国王として、です」
アルシオンは、治世者として、自分よりはるかに能力のある兄が、
このまま、自分の臣下に甘んじる姿を、見たくはなかった。
「ノルバスが攻め入ったため、カナンの国王らは、国外へ逃亡しております。
国王ベリウスは、リリティスの叔父ですが、
その前は、リリティスの父であるユリウスが、カナンの王であり、彼女は王女です。
噂では、ベリウス王は、ユリウス王から、王位を簒奪し、目の見えない彼女を、幽閉したとか。
どうでしょう。
このさい、兄上が、リリティスと結婚して、カナンを治めては、いかがですか?」