盲目の天使
潤んだ瞳に、同じように潤んだ瞳で見返すと、
リリティスは、やわらかく微笑んで、自分の隣で眠る小さな命に目をやる。
「カルレイン様そっくりですわ」
「まさか!おれはこんな美人じゃない!」
カルレインの言葉に、リリティスは、ぷっと吹き出した。
「何がおかしい」
「だって・・、こんな、まだ猿のような赤子を捕まえて、美人だなんて・・」
「何を言っている!こんな美人は他にいない。
見ろ!まるで天使のようじゃないか!」
確かにそうかもしれない。
この子は、私たちにとっての天使だわ。
「俺の守るべきものが、また一つ増えたな」
カルレインは、赤子の小さな掌を自分の指に引っ掛けながら、極上の笑みを浮かべた。
しわしわの小さな赤い顔をした天使が、そっと微笑んだように見えた--。