盲目の天使
「カルレイン様だ!カルレイン様がお戻りになられたぞ~!!」
途中、民がどこにいるのかというくらい静かだった気配は、
城門をくぐると、一気に熱烈な歓迎の熱気に包まれた。
「カルレイン様、万歳!」
「カルレイン様、万歳!」
多くの人々が、手を降りながら、歓喜の声を上げる。
リリティスは、この群集の中に、自分の姿を見せるのがためらわれた。
自分は、捕虜として連れてこられた身なのだ。
いわば、敵国の王女として、憎まれる存在。
「すごい騒ぎですよ。城門も、ものすごい大きさです。
カルレイン様が、手を振って民に応えていらっしゃいますよ」
興味津々に馬車から体を乗り出すルシルが、状況を事細かに説明してくれる。
すぐ近くにいるルシルの声も、よく聞こえないほどの大歓声で、
リリティスにも、カルレインがこの国で人気のある勇者なのだと理解できた。