盲目の天使
城の中は、外の寒さに比べると、風がないだけでもずいぶん暖かかった。
リリティスは、客間のような部屋に通されると、
王への謁見のために、身支度を整えるよう言われた。
城に仕える侍女たちが何人もいて、リリティスは人形のように、湯浴みをさせられ、着替えさせられる。
ルシルも手伝おうとするが、初めての場所に戸惑って、他の侍女から、邪魔なので、手を出さないでください、と言われ、しょんぼりうなだれていた。
「王子がお見えです」
侍女の取次ぎの言葉に、リリティスの周りにいた侍女たちが、一斉に頭をさげて膝をおった。
「支度はできたか?」
「はい、大丈夫でございます」
おそらく、侍女頭なのだろう。一番年かさの侍女が、穏やかに答えた。
良かった、カルレイン様がいらっしゃって・・。
カルレインの声を聞いて、リリティスは、ほっと胸を撫でた。