盲目の天使

吸い込まれそうな、澄んだ蒼い瞳。

だが、その瞳は、光を映さない。



美しい?私が?

いいえ、きっと、何か別のもののことをおっしゃっているのね。

目の見えない私が美しいわけがないわ。



「リリティス。一度しか言わないからよく聞け」


やさしい手のぬくもりとは違う、鋭利な刃物のような声音に、リリティスはぎくりと身震いした。



「は、はい。なんでしょう」


「選択肢は二つだ。

俺のものとなって、共にノルバス国へ来るか、

俺を拒んで、カナン国を灰とかすか、



・・選べ!」













< 8 / 486 >

この作品をシェア

pagetop