盲目の天使

「えっ!!どうしましょう。私、ちっとも目が覚めなくて」


どうりで、すっきりと目覚めるはずだ。

初日から、とんだ失態をしてしまったと慌てたが、オルメの声から、負の感情は読み取れない。


「カルレイン様の命令で、お起こししなかったのです。

かなり疲れているはずだから、リリティス様が目を覚ますまで、声をかけるなと」


カルレインがそんな風に女性にやさしくすることなどめったにないので、

オルメは、内心、かなり驚いていた。


幼い頃から、頭もよく、人を動かす才能に長けていたが、その反面、

人付き合い--特に女性に対しては、淡白で、情に薄いように思えて心配していたのだ。



・・あんなふうに、穏やかな顔のカルレイン様を見るのは、子供の時以来だわ。



昨夜、リリティスを起こさないように頼むと言った、カルレインの優しいまなざしを思い出して、

オルメは、他の侍女が気づかない程度に微笑んだ。







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