詩的物語〜君は恋してる〜
 恋愛に興味がなかったわけじゃない。

でもね、誰かを好きになれる自信がなかった。

告白されることだって16になった今までに何回かあった。

付き合ってみたこともあった。

でも、好きになることはなかった。

そんな私に恋愛ができるとは思っていない。

それでもいい。
そう思っていた。





「いるかな〜」

 校舎に戻り、三鷹くんの後について歩いて行くとたどり着いたのは図書室だった。

「あんたの友達に勉強家がいるとは思えないけど」

「結菜ちゃんヒドッ!俺意外と頭良いんだよ?」

 なんだか、二人を見てると漫才のようで自然に笑みが浮かぶ。

ガラッ

ドアを開くと図書室独特の静けさが流れる。

 人の気配がした。
入って左奥の本棚に囲まれた一つの机。
まわりの机から孤立してある木の机。

「あ、いたいた」

三鷹くんはそう言いながらその机に向っていく。

その人の姿を目にした私は、何故だか心が震えた。


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