詩的物語〜君は恋してる〜
「で、どうして部活めぐり?」

 結局、私は結菜に連れられて言葉の通り部活めぐりをさせられていた。

「だって、奈々ってばクラスの男子とすら話さないし。放課後は直ぐに家に帰っちゃうし、だからどんな男子がいるかわかんないでしょ?」

「まあ、確かに」

 結菜の言うとおり、私はいまだにクラスの男子の半数以上の名前も顔も覚えていない。

「そうなると、部活めぐりが一番手っ取り早いのよ。だいたい人気のある奴は部活に入ってるし」

「それって、結菜がかっこいい人見つけたいだけじゃ…」

 さっきから真剣に観察してるし。

「まあね」

「おい」

「あ、あの人よさそう!」

そう言って指差したのは、グランドでユニフォームを着てサッカーをしている男子だった。
まあ、確かに爽やか少年で人気がありそう。

「やっぱ、爽やか系だね!」

「あいつ、やめときな」

「「へ?」」

急に後ろから声をかけられ、二人して後ろを振り返る。

「こんちわ」

「りゅう…」

「はぁい、結菜ちゃん」

 突然現れた、結菜と知り合いらしい男の子。

「こんなとこで、何やってんの?」

「いい男探し」

「目の前にいるのに?」

 からかうように、おどけて言う彼に少し引っ掛かりを覚える。

「なに言ってんだか。奈々、こんな奴には引っ掛かっちゃだめよ」

「ひどいなあ〜。初めまして、奈々ちゃん?」

「は、初めまして。結菜の彼氏さん?」

「「…」」

 突然固まってしまう二人。
何か変なこと言ったかな?

「あはは!おもろいこと言うなあ、奈々ちゃんは!」

「天然だからね」

吹き出す男の子に、呆れたような結菜。

「?」

 何なんだ?と首を傾げるしかない奈々。


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