花 火
現 実 逃 避






 今日は日曜日。
 花火大会の日だ。



 達也と一緒に行くって
 約束してたのにな…
 なんて思いながら
 少し遅めに起きた。










 「…、」










 隣を見たら
 ありえないはずの達也が
 規則正しく寝息をたてて
 眠っていた。









 私はただ、ただ
 無言で固まっていた。
 頭ん中はパニックしてる










 「んっ、おはよ」









 いつもと変わらないような
 当たり前のような
 そんな雰囲気がして、
 びっくりするしかなかった。









 達也にそっと触れてみる。
 ちゃんと触れて
 感覚もちゃんとあった。









 「お前どしたんだよ?」










 ただ、ひたすら
 頭をふる回転させ
 現実を見ようとした。






 でも 目の前には
 死んでしまったはずの
 あの日 逝ってしまった
 達也がいる…。










 「千晴?」











 達也が心配そうに
 弱気な声で聞いてくる。










 「な…んで」





 「ん?」





 「なんでいるの?」









 もう頭がついていかず
 ただひたすら泣いてしまった。






< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop