Bitter
『・・・・・・!』



高瀬が私の肩をおさえた。



私はその手に押し返される前に、自分から身体を離して微笑んだ。



彼は何も言わず目を見開いている。


スーツに私のリップグロスが少し付いて、キラっと光る。




『・・私がここに、ただ泣くためにきてるわけじゃない事くらい、わかってたでしょう?』




そういって、私は立ち去った。



背中に彼の視線を感じた。


もう一度走っていって抱きしめたかった。






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