Bitter
* * * *




階段を一階分駆け下りてうずくまる。



あいつなら、なんで私がこんな行動にでたか、わかるはずだ。




私は彼の過去を知った。


ショックだった。
痛かった。
かわいそうだった。
悔しかった。

いろんな感情が溢れては交錯した。


そしてやっぱり

愛しくて 支えたかった。




だけど駄目なんだ。

今のままじゃ、駄目なんだ。





母は、私のことを、高瀬にとって特別だろうといった。
身体以外を求めるのは文子以来初めてだと。



じゃぁなんで、彼は私を求めた?


求めたとまで言わなくても、なぜ隣にいることを許した?





それは私が文子だから。




彼の中で、この屋上にいる時間は、私は香坂麗という名の沖野文子だから。


< 132 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop