Bitter
段々、いろんな事が気になりだした。



携帯を開く。

私相手に藤田先生の事隠す必要ないのに、何を聞いても自分は風邪だとしか言わない。

それに、今までのメールでは、カナは「ありがとう」と言うとき、必ず「ありがとッ!」とうっていた。

そんなささいな事も違和感を膨らませる。



本当に風邪?

なにか、カナのそばで全く私の知らない事態がうごめいている気がする。



* * *


カナが休み始めて五日目、廊下で藤田先生を見かけたので駆け寄った。



「先生っあの、カナの事何か知りませんか?あの子、あの‥」

すると先生は慌てて、

『バカここではあいつの話はするなよっ。』

と小声で制して逃げようとした。



その瞬間カッと頭に血がのぼった。




『何よ臆病者!あの子を失う事よりも恐いことがあるっていうの?!』


どなりつけると、先生は少しふりかえって、力なく微笑んだ。


そして思い詰めた様子で再び去っていった。


その背中があまりに淋しそうで、私は責めた事を少し後悔した。



< 165 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop