Bitter
私はしゃがみこんで血をまさぐった。
理解できなかったのだ。
気付いた母が止めに入ってやっと、私は叫ぶことができた。
いやああ!!どうして!どうして!!!
そんな類のことを言いたかったのだが、声は言葉にならなかった。
——この鮮やかな赤と服の純白が混ざり合って、
あの日の桜色になったらいいのに・・・
彼は、眠っているかと思うほど、穏やかな表情だった。
母親が言った。
これが彼の「永遠」の証明なのではないかと。
『こうしたら、愛はずっとあんたのものだ。文子の遺言破るくらい、あんたを愛してるんだよ。』
私は母にどなった。『違う!』
高瀬の襟を掴むと、
『・・永遠の愛を信じてないのは・・っあんたじゃんか!!
あぁあーーーーー・・・っ』
涙交じりの声でそう叫んで、いつまでも彼の胸に顔をうずめていた。
ステンドグラスから差し込む光が、ただただ眩しかった。