Bitter
『レイー遅かったじゃぁぁん!
コンタクトなおったぁ?』


教室に戻ると、アコ達が放課後恒例お菓子パーティーの続きをやっていた。


さっきの事がひっかかって、いつもの作り笑いに顔をすぐ戻せない。


『あ・・うんっなおった。』


『ねぇこのチョコマジうまいから食ってみー?!』

『う・・ん』

『やばーぃ食べすぎたぁ!』

『あたしもー。』

『マキあんたダイエットはぁ?』

『キャハハ!いまさら聞くなよぉ中止中止っ。』





どうしよう、このテンションについていけない。



『今さーアコの彼氏の話しててー』


・・頭が回らない。


あれ・・?いつも私どうやってこの子達と話してたっけ?





『でさー超最悪じゃね?!』



『えっあっ・・そだね!』



明らかに気を遣っているような、変な反応をしてしまった。



数秒、しん・・とした。


やばい、空気壊した。


『ごめん、実は、さっきトイレ行ったら気分悪くなっちゃって。だから今日は先帰ってるね!』


精一杯の笑顔でそう言った。


『あぁなんだよ体調悪かったのか!早く言えよぉ!』

アコがバシッと肩をたたく。


『へへっごめんね!またね!』


そそくさと教室を出た。




・・・・・はぁっ


たまった息を吐き出す。




(・・私余裕ないなぁ。


・・元からあったのかもわからないけど。)





気が付くと目の前にカナが立っていた。


『・・だいじょぶ?』



本当に心配している顔だった。


でも、今見たくない顔だった。





『平気。もうほっといてよ。』



カナの曇る表情を見ないようにして歩き出した。



後ろからカナの声が追いかけてくる。



『・・・ばいばいっ』



『・・・・・。』



あえて、返さなかった。






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