Bitter
『えっ休みですか?』
『そうなのよーちょっと通夜が入っちゃってねぇ、だから今日はゆっくりしなさい。いつもありがとうねー。』
バイトが休みになるなら、もう少し高瀬といたかった、なんて思いつつ夕飯の材料を買って帰宅した。
まだ早いので母親もまだ家にいるだろう。
お好み焼きでもしようかな。
『ただいまー…
・・・・?』
真っ先に目に入ってきたのは、あるはずのない男の靴だった。
(・・・…お母さん?)
何。
誰。
担任?
お父さん?
いや、なんだかもっと、
嫌な予感だ。
おそるおそる廊下を進み、リビングへ。
そして母親の部屋の前へと進む。
ドアに手を伸ばした瞬間だった。
『・・・っ…幸司さ…っ。』
お母さんの、聞いたこともないいやらしい声だ。
———————・・・!!!!
その声はドアの向こうで響き続ける。
私は一歩、また一歩と退く。
体中をひどい嫌悪感が襲った。
ガタンと音を立ててテーブルのそばの椅子にぶつかる。
その瞬間、部屋の中はしん…とした。