浮気心に春爛漫
「で…」


そこで涼ちゃんの言葉が止まった。



眉間にしわを寄せて、斜め下を向いて。




いつも飄々としている涼ちゃんからはあまり見られないけど。



ほんの時折みせる、真剣に悩んでるときの顔。







「…一緒にいてくれないかな。」




あたしは嬉しくて嬉しくて。



でも、涼ちゃんはちゃんと彼女と別れてから言ってくれた。


もしかしたらあたしも彼女も失うかもしれないのに。


あたしとうまくいってから彼女と別れることだってできたはずなのに。



けじめつけて。



誠心誠意伝えてくれた。




あたしはその気持ちに答えなきゃ。



「涼ちゃんの気持ち、すごく嬉しい。ありがとう。でも、祐太への気持ちを整理してからで…いいかな。」




あたしの答えに、涼ちゃんは、仕方ないねという笑みを浮かべた。



「そっか…そうだよな。わかったよ。ありがと。」



そう言って、ポンとあたしの頭をなでると階段を下っていった。
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