シンデレラマーメイド
小さい頃からなんで入れないんだろう、といつも気になっていた場所だった。
岩がいっぱいで、かくれんぼしたら楽しそう
そう考えて何度入ろうとしたか知れない。
しかしどうしても入れなかった。
入ろうとしても見えない壁に阻まれるのだ。
だがふた月前、ぼ−っとこのあたりを漂っていたら、ほのかに光る小さな岩に手のヒレがぶつかった。
その瞬間、視界がクリアになり、今まで入りたくても入れなかったその岩場にすっと入ることができたのだ。
王族のみが持つ手のヒレに反応して開く岩場。
つまりは、王族のみが許された場所、ね
アクアは合点する。
突然のことに驚きつつ、念願叶った嬉しさにその岩場を散策したアクアの顔はやがて凍る―――。
そこに刻まれていたのは、アクアが散々教えられてきた歴史とはまったく違う内容のものだったからだ。