シンデレラマーメイド
驚いて振り向くと、そこにはにこにこ笑いながら近づいてくる王子の姿があった。
「だめだろ、こんなところに入っちゃ」
咄嗟に逃げようとするアクア。
しかし腕をがっしり捕まれて逃げられない。
「っっ、離してよっ!!」
叫ぶも、王子は飄々と答えた。
「まぁまぁ。ゆっくり話そう」
岩場に入ったことを怒られると思ったアクアだったが、王子が全くそんな気配を見せないので幾分拍子抜けする。
「怒ら……ないの??」
「ん??」
王子はアクアの言葉ににっこり笑った。
「怒らないよ。俺にとってこんな岩場どうでもいいし。まあアクアのさっきの言葉で、アクアがここを知ったことくらい見当ついてたからな」
王子があまりにも穏やかに言うのでアクアは暴れるのをやめた。
「でも…一応謝っとく。ごめんなさい」
王子は一瞬驚いた表情をみせ、それからアクアの頭をよしよしと撫でた。