ワガママな弟
これは…言い訳になるけど
その大会では
ストレスで胃を壊してしまった。
だけど、大会に出ないっていうのは
逃げるみたいで嫌だった。
それであたしは大会に出たんだ。
まぁ準準決勝までいってたから
後少しだったんだけど
あたしは周りの期待の目に押しつぶされて
しまった。
「…圧倒的に負けてたけど
決して途中で棄権をしなかった。
すごくつらそうにフラフラだったのに。」
あたしは諦めるという言葉が
大嫌いだった。
諦めるくらいなら
自分の納得のいくまでやって
それから一旦止めようという考えだった。
一旦止めるけど
その続きはあたしがしたくなったらする。
それだけ。
「その女の子を見て、
俺ってすっごいださいな。
って子供心に思ったんだ。
あの時は俺ずっと負けっぱなしで
柔道が嫌になってたんだ。
だけどあの女の子は
自分より体が小さいのに
あんなにがんばってる。
なのに俺ってだせぇって。」
…そんな風に誰かが
思ってくれたなんて
考えたことなかった。