恋愛磁石
「裕斗、いつ髪染めたの?」
「あぁ、昨日。似合うっしょ?」
そう言って少し短くなった髪に指を通す。
中学を卒業したときには金に近い色だった裕斗の髪は、真っ黒に染められていた。
あたしたちの制服と同様に真新しい彼のブレザーと、まだ見慣れない黒髪姿の裕斗が、少し大人っぽくなったように感じた。
………悔しいけど、よく似合ってる。
「どーせ、またすぐ染めるくせに」
素直じゃないあたしは、そう言ってそっぽを向く。
「素直じゃねぇなぁー。ミライちゃん」
「うるさい!ってゆーか、“ミライ”じゃなくて“ミキ”だって言ってるでしょ!!」
「なんだよ、今さら」
そう言って笑う彼にクシャクシャと頭を撫でられて、あたしの顔は真っ赤に染まっていることだろう。