恋愛磁石
「裕斗!ちゃんと来てんじゃんっ!」
人混みから少し外れたところから聞こえた大きな声。
振り返ると、裕斗と仲のいい竹本(タケモト)が立っていた。
「おっ。タケ!」
「昨日ぶりだな」
「じゃ、またなっ。ミ・ラ・イ♪」
そういって言って、もう一度あたしの頭に手をのせた彼は、ポンポンと軽く叩いて竹本のほうへ走っていった。
「…ミキだって言ってんのに」
あたしはそう呟いたあと、「電工か」と付け加えて小さくため息をつく。
だけど、そのため息の後。
高校なんて来ないと思ってたのに、なんて思うと自然と顔がほころんだ。