恋愛磁石
「未来、何してるの。
具合でも悪いの?」
その場に突っ立ったまま動こうとしないあたしに、
お母さんが心配そうな顔で声をかける。
「え、あぁ…なんでもない」
慌てて笑顔を作って見せるけど、
あたしのその笑顔に何を感じたのか、お母さんはさらに心配するように眉を下げた。
「――ごめん。今日疲れてるから、ご飯いらない」
ため息をついてそう言ったあたしは、
そのまま振り返ってドアに手を掛ける。
後ろからお母さんに名前を呼ばれたけど、
聞こえない振りをしてそのまま部屋を出た。