恋愛磁石
「――…っはあ」
緊張の糸がほぐれて、ため息が出る。
2人が階段を下りていくのを確認して、あたしはその場にズルズルと座り込んだ。
冷静になってみると、
実の父親をここまで露骨に避ける自分もどうかと思う。
――それでも、どうしても、好きにはなれない。
この調子で“勉強””成績”と期待され続けると
あたしの中の何かが爆発してしまいそうで…
そうなったときに何をしてしまうか、自分でも分からない。
それをあたしは恐れていた。