恋愛磁石
「お前こんなとこ受けてたんだなっ」
「それはこっちのセリフ」
肩に回された腕を振り払って腕を組むあたし。
「だって言ってねーもん」と悪戯に笑ってみせるのは小学校も中学校も同じだった田崎裕斗(タサキユウト)。
「電工?」
「そう。お前、普通科?」
「そうだよ」
普通科と電気工業学科(通称、電工)に分かれているこの学校。
入試のときにコイツの姿を見かけなかったのは、そのせいかな。
「すごくね?俺、高校とか受かっちゃったよ」
「は?受かるのがフツーでしょ」
「うわっ。何だその嫌味発言」
「嫌味じゃないし」
裕斗の親は小さい頃に離婚していて、今はスナックで働くお母さんと、2人のお姉さんと一緒に暮らしているらしい。
そのせいかどうか知らないが、コイツは昔から遅刻や無断欠席が多かった。