沫雨恋愛
「‥っ!」

あたしはびっくりして、その場に立ち止まった。





女の子が呼んでいた名前からして‥告白の相手は一ノ瀬だろう。




あたしの心臓の鼓動が速くなった




一ノ瀬が呼び出されているのは見たことがあったけど‥


告白されている現場に遭遇したのはこれが始めてだった。







悪いことだとは思いつつ‥あたしは会話に聞き耳を立てていた。






(一ノ瀬‥どうするのかな‥)






これまで何度も告白されていても、1度もOKしなかった一ノ瀬。



あたしはそれに‥少し安心していた。





もちろん、一ノ瀬が呼び出されるたび、

もしかしたらOKしてしまうのではないかという不安もあった。


それでも告白されるたびに断っていた一ノ瀬を見てきたから




"一ノ瀬は告白されたら断る"



という勝手な思い込みが
あたしの中にできてしまった。










―― 断る理由を‥知らなかったのに



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