沫雨恋愛
背中
「これでよしっ と‥」
一ノ瀬は近くにあったコンビニから
消毒液と絆創膏を買ってきて
あたしの足の手当をしてくれた。
「あ‥ありがとう」
さっきまでの痛みが‥
嘘みたいに消えていた。
「いやーびっくりした。
後ろ見たら藤野の姿がなくなってて(笑)」
「それで探しにきてくれたの‥?」
一ノ瀬は笑って頷き、
ポケットからケータイを取り出して
誰かと話し始めた。
「‥あ、拓海?うん。見つかった。
え? あ~‥そうだな。ん。わかった。
じゃあまたな。」
パチッと閉じて、またポケットにしまった。
「拓海くん‥?」
「うん、そう。
この人混みじゃ、
今から合流するのは無理そうだから
別々に帰ろうって」
さっきまで放心状態で気づかなかったけど‥
花火大会はもう終わりかけているみたいだった。