沫雨恋愛
「ここでいいの?」
一ノ瀬はあたしの家の前であたしの体を下ろしてくれた
「うん。今日は‥本当にありがとう」
「いえいえ(笑)じゃあ‥またな」
「ん‥ばいばい」
手を振り終わると、一ノ瀬はすぐに体を背けて
元来た道を帰っていった‥
あたしはその後ろ姿を見つめた。
― 一度も振り返らない、背中
‥当たり前だよね‥・・
だってあたしは「彼女」じゃない。
一ノ瀬の姿は闇に紛れて‥見えなくなってしまった。
また‥涙が溢れてきた
期待してはいけない
望んではいけない
伝えては‥いけない
もう‥この恋をつづけるのにも‥限界がきていた‥