紙ヒコーキ


『でも大切な人はいた』
いきなり笑っていると
橋本は真剣な顔で言った
『え?』
おもわず笑顔がなくなる
『でも、もういない。
なくなったの。ははは』
また橋本は笑った。


『もういない、なくなっちゃた』
橋本はたしかにそう言ったんだ。


それ以上は私も橋本もなにもいわず、ずっと窓の外の空を見ていた。


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