風にキス、君にキス。
「っ日向…大丈夫だよ」
柚はもう泣いてはいなかった。
だけどその声は、少しだけ震えていた。
「生きてる限り…希望はあるんだよ?」
「…っ」
「…日向は、あたしの生きる理由だったの」
だから、そんなこと言わないで。
そう囁くように言った柚の声は、ただ優しかった。
――――"生きてる限り希望はある"
…本当に?
"生きる理由"
…俺が、柚の?
そこに君がいる限り、希望は消えないのだろうか。
例え君を泣かせても
例え君を永遠に思い出せなくても
…俺はここにいても、いいですか?