風にキス、君にキス。
「…俺達だったら、どうよ?」
いつもの、おどけた目とは違った。
雄大先輩は真剣な目を…隆史先輩とあたしを含む部員全員に、向けた。
「足、出してみ」
「…え?」
「いいから」
座っていた机から降りて、真っ先に足を一歩出したのは拓巳だった。
続いてあたし、隆史先輩、渋々真琴先輩…というふうに、言われた動作をぞろぞろと始める。
それを確認してから、雄大先輩はゆっくりと口を開いた。
「その足をよく見つめるんだ」
「…」
「…これが突然無くなったら…突然失われたら…俺達、どうする…?」
…どうする…?
雄大先輩が語り掛けたことは、日向の苦しみの一部に過ぎない。
…だけど、その一部でさえも…あたし達は感じ取ろうとしなくてはいけない。